2.謙虚な目で子どもの作品を見る
さて、良き造形教育を行うには、まず子どもの作品を見る目
を養うことが大切であると思います。一般に、大人は写実的に
すぐれた絵や作品を評価しがちです。つまり「良い絵とは実物
をより忠実に正確に写し描いた絵」であるといった考え方です。
しかし、ピカソ,ゴッホ,ミロ,シャガールなど、優れた近代
絵画や彫刻を見ればわかるように、美的表出の型は実にさまざ
まです。一見おかしく見える作品にも、すばらしい宝物がいっ
ぱい隠されているものです。子どもたちの作品をよく見て、工
夫のあとや発想の面白さを発見し、適切な理解と激励を与えて
あげるのはもちろんのこと、大人はもっと謙虚な目で子どもの
作品を見る必要があります。
心理学者のユング (1875-1961)は、人間の性格をつぎの4つ
の型に分類しました。
思考型・感情型・感覚型・直覚型
さらに美学、美術史学者のリード(1893-1968)は、人間の美的
表出の型を4つの型に分類しました。それらは上の4つの性格
につぎの様に対応します。
1.思考型は、写実主義 2.感情型は、超現実主義
3.感覚型は、表現主義 4.直覚型は、構成主義
ユングの説によると「すべての人に4つの機能がある」しかし
「公平に機能するとはかぎらない」つまり「そのなかの1つが
優性に働く」ことによって「1つの型(タイプ)ができ」それが
一人ひとりの表現様式の違いとなって現れるというわけです。
作品を見る目を養い、作品に現れる子どもの表現様式の個人差
を認めて、それぞれの良さを理解することが大切です。
a.お父さんが自転車でおもちゃ屋さんに行ってるところ (絵の具、コンテ、サインペン)
b.てんとう虫とチョウチョが空を飛んで遊んでいるところ (絵の具、コンテ、サインペン)
c.お母さんがお花畑で花を見ているところ (絵の具、コンテ、サインペン)
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